almond

 

アーモンドの花が小さく揺れている

花弁を散らす前に

その本当の花が終わりを告げている

私の知らぬ季節の中

 

そこに青く縁取る真実と

他に呼びかける名も無き鐘の音

実り いつか摘まれる種の下

私 もう待てない

 

悲し/愛し とも好都合

触れられたら

気にし 晒し 顔したら

ここが始まり

ひと粒でも口に含めば

走る喉の奥まで狭まる吐息の音

 

 

アーモンドの花がさみしく揺れている

そう見えてしまうほどに

その本音の花に祈りを込めている

報われぬ願いだとしても

 

ここで1つ確かな温もりを

他に寄り添う人も無き雨の音

実り いずれ離れる枝の花

いない もう会えない

 

形 あわい 逃れても

近づいてる

独り 痛み 感じたら

そこが始まり

ひと粒だけ口に含めば

よぎるほんの刹那の揺蕩う命の音

 

 

哀しい恋しい 裏腹

ひるがえせば

苦しい愛しい 私でも

ここが始まり

ひと粒でも口に含めば

走る喉の奥まで狭まる吐息

 

それはほんの小さな

揺蕩う命の音