almond

 

アーモンドの花が小さく揺れている

花弁を散らす前に

その本当の花が終わりを告げている

私の知らぬ季節の中

 

そこに青く縁取る真実と

他に呼びかける名も無き鐘の音

実り いつか摘まれる種の下

私 もう待てない

 

悲し/愛し とも好都合

触れられたら

気にし 晒し 顔したら

ここが始まり

ひと粒でも口に含めば

走る喉の奥まで狭まる吐息の音

 

 

アーモンドの花がさみしく揺れている

そう見えてしまうほどに

その本音の花に祈りを込めている

報われぬ願いだとしても

 

ここで1つ確かな温もりを

他に寄り添う人も無き雨の音

実り いずれ離れる枝の花

いない もう会えない

 

形 あわい 逃れても

近づいてる

独り 痛み 感じたら

そこが始まり

ひと粒だけ口に含めば

よぎるほんの刹那の揺蕩う命の音

 

 

哀しい恋しい 裏腹

ひるがえせば

苦しい愛しい 私でも

ここが始まり

ひと粒でも口に含めば

走る喉の奥まで狭まる吐息

 

それはほんの小さな

揺蕩う命の音

居場所

 

「ホットコーヒーのエスで」

という時、居場所を買っている。

それはコーヒーが冷めるまでなのか、コーヒー1つで居てもいいだろうという気持ちが冷めるまでなのかはわからないが、居るための場所と時間を買っている。

すぐ飲まないのはなぜだろうと考えて、そうなった。最近はふわふわしている。

 

居場所を買っている。この考え方は他のことにも言える。

ライブ中の30分は、自分を活かす時間をもらっている。

好きな人と居る時間は許される時間をもらっている。

居たくない場所にいないといけない時間は、許されない時間の中にいる。

何にもなくてそわそわふわふわしている時間は、時間そのものの中にいる。

ホットコーヒーをお店で頼めば、それが冷めるか飲み終えるまでは居る理由になるだろう。それはそのまま制限時間が過ぎれば出ていかなければならないということにもなる。

 

今はどんな時間の中にいる?

誰に許されて、どんな環境の中、どんな人間の中にいる?

 

そういえば、肌が荒れている。それもそうで、

 

荒れているものがない時の時間に対して、荒れていて動きや表現に痛みや違和感を覚える時間は、時間の動きが重くなる。空気の質が変わる。目が痛いとか肌が痛いとか、不調や軋みはこの世とのズレの合図だ。かと思えば、前大切だったものがそうじゃなくなりながら、以前見つけたばかりだったものに自分が馴染んでゆく。

 

面白い文章と面白くない文章の違いは?

興味の持てる音楽と、そうじゃない音楽の、在り方の

 

違いは?

 

-

 

肌が最初から白かったら思わなかったことがあり、

歌が歌えなかったら思わなかったこともあり、

そう思うと、今ここにいなかったら、あの人と会わなかったら、あの時ああしてなければとわんさか出てくるが、結局変わりはない気もする。

一つの出来事は一つの要素ではできていない。人一人にもきっと言えることで、一つの要素で人はできていないから、きっと僕はまたあなたと会うのだろう。

それを傷つけるとか傷つかないだとか、手を繋いだとかどうだとかは、

そんな些細なことがと言ってしまえるほどに大きく、そして小さく豊かな違いなのだろう。その違いをライブにしていくのが、目標。

 

 

 

 

箱庭

 

あのね 心地いいからさ

そのね 君の口癖がかなり

変わっているから 代わりが効かない

だから

話しきるとこまで 話してみせて

 

誰にも最低なところが

あるでしょ人間

傷つけたりするでしょ時々

それでも健全

あなたもわたしも何処にもいけないまま

箱庭の中で隠れて

息をしているの

 

ほらね ここにいるからさ

だから わがままでいてね かなり

笑っているなら 次が知りたい

だから

いついかなる時の私も

見逃さずに

 

誰にも最適な居場所があるのよ

人間

譲れぬ話もしたよね

あの日の出来事

それでもいかにも心は知らんぷり

思い出の過去は忘れて

息をしていくの

 

 

 

だらしない

 

二人 穴蔵で暮らしてる

風通しの悪い日にも

絶えず良い生活を

良い暮らしを祈っている

 

健やかな心 穏やかなところ

緩やかに だけど

やらしさも忘れないで

 

君が正しい 僕でありたい

それが"愛しい"だと思うから

服の乱れ 襟の汚れ

食べ残し 全部正しい

 

よがり くねるまま暮らしてる

ねじりひずむそんな時でも

変えぬこの生活を

その暮らしを誇っている

 

不確かな心 身勝手なとこも

しとやかに だけど激しくも

伝えたいね

 

それで正しい 強く言いたい

何一つ 違ってないよ

喉のつかえ 針の狂い

取り乱し どれも愛しい

 

 

 

夢の街まで

 

3丁目までちょっと

迎えに来れない?

堂々巡り ちょっと

道に迷うから

 

昨日の夜に 浸け置きしていた言葉

味見しながら街までゆくの

あとで君から

 

全部、話しておいてね

中途半端な心で

大義名分を語らないでって

明日 君が死んだらどうしよう

そんなことを本気で考えてあげる

わからないように

 

うんイエスまではちょっと

容易にできない

許せないのはいつも

君が好きだから

 

昨日の夜で 突き離しておいた言葉

弱虫だから気にしてしまうよ

あとで君から

 

僕に謝っておいてよ

中途半端だ どれも

イルミネーション、飾らないでって

明日 君と会えたらどうしよう

そんなことを本気で考えてしまう

 

うざったいよな

 

 

猫の目

 

だらだら過ごしてるうちに

昼過ぎになって 針が気になって

そろそろ起きて良い頃

腹の虫も鳴って 動きだすかって

 

今日はどうしよう?

そんなことを

猫は決めない ただ歩くだけ

 

 

手を繋いで 指を噛んで

君を乗せて 星は回る

それはまるで 丸い猫の目

僕も乗せて 星は回る

 

 

バタバタ準備してるうちに

夕暮れになって 車走り去った

そろそろ目覚めて良い頃

夜行性でしょ 動き出すよって

 

そうだこうしよう?

そんなことを

飽きもせずに また唱えてる

 


手を繋いで 指を噛んで

君を乗せて 星は回る

それはまるで 丸い猫の目

僕も乗せて 星は回る

 

 

帰り道も 迷い道も

猫に聞けば 星は回る

それはまるで丸い猫の目

僕を乗せて 星は回る

 

君を乗せて 星は回る

 

祈り

 

 

祈りの言葉 人は嘘をつく

誤解されるのを恐れているから

 

風は吹くのに回らない風車

ぼやっとしている魔法

そこにはあなた

解けないなら そのままで

謎のままで

 

ないといけない 夢みたいな眩しい光

あると言えない わたしたちの見えない祈り

言葉が枯れるまで歌にする

 

 

祈りの言葉 ボクは嘘を付く

期待されるのを恐れているから

 

波は引けども 動かない風見鶏

次回を待ってる 今日の船出

そこでもあなた

知らないなら もうどうでもいい

そこにいればいい

 

ないといけない?嘘みたいな楽しい怒り

あると言えない?私達の確かな光

心が晴れるまで歌にする

 

風は吹くのに 回らない風車

ぼやっとしているままに

そこにはあなた

あなたしかいないなら

もうそのままで

祈るままで

 

ないといけない 夢みたいな眩しい光

あると言えない 私達の見えない祈り

ないと言えない 嘘みたいな僅かな痛み

あるといけない 嘘になった微かな怒り

 

言葉枯れるまで

心が晴れるまで

 

歌にする