ハイドランジア

 

遅咲きの紫陽花

ひとりで居るための雨を間違えた

紫の滲んだ花びら

まるで泣いている

 

やっと開いたと思った途端に

仲間は枯れて青はもう保てない

じわっと傷んだ痛みの正体は

心って言うんだろう

ねえ 雨よ

 

晴れた空に雨雲

細い針が優しく孤独を包む

枯れた先で会えるの

その時まで激しく青く咲いている

 

くすんでる紫陽花

言葉は待ちわびるだけで愛せない

満たされぬ器

そこからこぼれるばかりの雨水

 

ぱっと躱した動きの拍子に

音を立てて割れた過去は直せない

イラッとしたんだ 若い蕾のように

ガキだって言うんだろ、

ねえ 雨よ

 

されど空は雨雲

痛い涙乾いて汚れてくすむ

絶えず僕は辛いの

その声が哀しく青く染めてゆく

 

 

 

彼の空は何色?

その声は? 心は? 優しく軋む

青の花が開くの

その訳は雨が全部知っている

 

雨が器を満たす