大分

 

大分。最近よく行く機会が増えて、すっかり土地の雰囲気にも慣れてきた。

 

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縁がある街。縁がある人。縁がある事。そういうものを割と信じるほうで、僕はそういうものに救われている。音楽だってきっとその一つで、そこから派生した縁に導かれて人と出会っている気がする。今回の博堂村もまさにそういう感じ。

 

前回の大分、そして佐賀の蝙蝠までサポートして下さった大分の二人と合流してその博堂村に向かう。道中見たアニメとドラマもすごく良かったから、いい気分のまま大分に着いていた。気づいたらやんわり外の景色の雰囲気が変わっていて、車が止まって休憩がてらコンビニに入りコーヒーを買って空を見上げた時、やっといつもの場所の空じゃない、違う県なんだと気づく。

 

挨拶をして博堂村にリハーサルに入る。辿り着くまでも周りのパチンコ屋や商店街の雰囲気がその土地独特で、変にカラフルで、でも少し色褪せたところに流れた時間を感じて、これが鮮やかだった時があるんだ、って、僕にとっては初めての景色だけど誰かにとっては当たり前の見慣れた景色なんだよな、ってこういう時によく思う。そんな日常風景に紛れてぽつりと博堂村と書かれた柱と階段があった。逆に見慣れた人たちのどれだけが、ここが歌って演奏する場所だと知っているんだろうか。

 

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リハーサルをしながらもお客さんだか演者だかわからない方が次々と現れる。すごく賑やかだった。温かい感じがした。挨拶をし合うお互いがお互いの存在に安心していて、この後の時間を楽しみにしてるのが分かった。

 

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気づけばすぐオープンの時間10分前になっていた。賑やかだったから気づかなかった。オープンする前とした後じゃ何か変わるわけでもないのに、空気が変わるような気がする。僕はそういう時、空気変わりたてのその場になんとなく居るのが落ち着かなくて、大抵外にいる。

 

 

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始まってからはずっと楽しかった。人のライブを見るのが楽しい、と思えることは最近増えたけどこの日は特に楽しかった。人は音楽で楽しいと揺れるんだという当たり前のことを今更自分で実感して思い出した。その揺れた振り子が止まないまま次が自分の番、というところまで来て、

 

その後はあっという間だった。本当に楽しい時、ひらめいている時はどうしたらいいか心がだいたい決まっていて、そういう日のライブはあっという間に終わる。やっぱり、すごく良い日だった。終わってからもずっと、出演者や見に来てくださったお客さん達と話していた。

 

 

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楽しい夜がある。でも、楽しくない長い夜もある。どちらも大切でどちらも必要だとなんとなくは最近理解した。でも普段の生活が見えない何かに縛られているからこそ、音楽をする時は何にも縛られず自由でいられたらいいなと今日になってやっと追いついて、思った。